マッカランは5年生

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ウォンテッドリー仲暁子へ批判は単なる嫉妬、上場ゴールは周りの意向が強いという話。

ビジネスSNSのウォンテットリーに関する考察を書いた記事が、Googleの検索結果から削除されたようだ。理由は「CEOの写真を無断で使ったから」。

 

簡単に経緯をまとめると

・ビジネスSNSのウォンテッドリーが9月14日にマザーズに上場する。
・この上場を考察したブログ記事が、今回の上場はダウンラウンドの上場となり、上場前より時価総額が下がってしまうことを指摘。
・さらに上場に伴う資金調達の目的がオフィスの内装費。
・役員や従業員にストックオプションほぼなし。CEOだけ大儲け。
・後日、このブログ記事が当該社からの申し立てにより、Google検索結果から削除された。理由は「CEOの写真を無断で使ったから」とのこと。

 

これについては、いくつか書きたいことがあるので書いておく。

 

 


大学生の頃から彼女は有名だった


仲CEOが京大生だった頃、
実は私も同じ時期に京都で学生時代を過ごしていた。
当時から彼女は割りと知られた存在だった。

学生界隈で話題となたのは、
京大で長年中止になっていた「ミスコン」を復活させようとしたこと。
左翼が強い京大では長年企画されていなかった。
(女性の人権とかの趣旨だろうか)

結局中止に追い込まれるのだが、
各種団体だけでなく、当時は男子学生からも批判されていた。
彼女は目立っていた。
京大生に失礼な言い方だが、京大生にしては美人だった。
嫉妬する輩も多かったのだと思う。

その後も女子大生向けのフリーペーパーを作ったり、
一人で色々と行動していた。
美人で頭も良く行動力があった。

卒業後の事は知らないが、
ゴールドマンサックス、FB日本法人立ち上げと、
キラキラ感満載の経歴だ。
プログラムも書けるし、漫画も描ける。
すごじゃないか。


仲暁子叩きは単なる嫉妬

学生の頃から美人で頭も良くて行動力があって目立っていた。
社会に出てからもキラキラキャリアで、
スタートアップ界隈でも割りと注目されている。
ゼロから会社を創業して、今回IPOを通じて億万長者になる。

彼女は超人的で、凡人は何一つ彼女に勝ることができない...。
仲暁子叩きをしている人の大半は、単に彼女に嫉妬しているだけと言われても仕方ない。


ブログ記事は秀逸だった。

誤解してほしくないが、今回のIPOに関するブログ記事を批判しているのではない。
ブログはウォン社の目論見書を読んで考察したものだった。
目論見書は一応は事実に基づいて作られていることになっているので、

 

ブログでの考察、

  • ダウンラウンドの上場
  • 上場における資金調達の目的がオフィスの内装費
  • 仲CEOだけ大儲けで他メンバーにストックオプションほぼなし

は事実だろう。事実を事実として書いて何が悪い。
しかし、それを風評被害のように嫌い、
ウォン社側が削除要請をしたのはおかしい。

上場前の大事な時期だからもしれない。
幹事証券会社から対策するように要請があったのかもしれない。
しかし、何かと理由をつけて削除要請をしたのはフェアじゃない。

今回の削除要請が今後の彼女叩きの燃料になってしまうことは確実。
残念だ。


株は買いたい人が買えば良い

今回、資金調達の目的がオフィスの内装費ということでバカにされているが、
個人的には必要な投資だと思っている。

オフィス拡張して会社が伸びると考える人は株を買えば良いし、
無駄金だと思う人は株を買わなきゃ良い。
むしろ、今後同社が行き詰まると考える人は全力で株を空売りするべきだ。
 

オフィス拡張は重要な設備投資

IT企業の競争力の源泉は優秀なエンジニアだ。
(ウォン社がIT企業なのか、求人広告会社なのかは別にして)
優秀なエンジニアを確保するためには、
エンジニアが快適に働ける環境を作ることが大切だ。
性能の低いPCや、狭いデスクでは集中して作業はできない。

福利厚生を充実させることも大切だ。
社内保育所を作る会社もある。
社食を作る会社もある。
不規則なエンジニアにとって食事のフォローは嬉しい。

エンジニアだけでなく、現在はあらゆる職種で人手不足だ。
多少“オフィスで釣る”などしても人材を確保したいのは良くわかる。
オフィス拡張は立派な「設備投資」と考えられる。

製造業における「工場新設」と同等の価値を持つものだ。
実際、過去にもIT企業が上場資金をオフィス拡張に当ててきた事例は多い。

 

キラキラオフィスも嫉妬

キラキラオフィスを作れば、
キラキラ社員ばかりが集まると考える人もいる。
キラキラ社員は福利厚生は立派に利用するが、
価値のある仕事はできない。
いずれ会社は堕落したキラキラ社員達によって滅ぼされる。
そう考える人もいるだろう。

しかし、一見キラキラ社員に見えても、
猛烈に働き成長して会社の業績を伸ばす所もある。
サイバー・エージェントが良い例だ。

キラキラオフィスやキラキラ社員に対しても、
そうした会社で働くことができない人からの嫉妬だったりするのだ。
 

ストックオプション無しは求心力の裏返しとも 

役員にストックオプションがほとんど配布されていないという話に関しても同様だ。
これじゃメンバーが離れていくと考える人もいれば、
株をばら撒かなくても創業者に求心力があるとも考えられる。

こんな会社に未来はないと思う人は投資しなければ良いし、
いずれ孤立して破滅すると考える人は全力で空売りしておくべきだ。
上場前の資本政策は非常にデリケートで、外野から読み取れない事情もある。

彼女がゴールドマン・サックス出身で、ファイナンスに精通していたとする。
だとすると、下手に株をばら撒かず、自分の持ち分を維持し続けたのは極めて賢い。
今後も資本政策で失敗することは無いだろう。
やはり彼女は只者ではない。
 

上場前の時価総額事態が水物

今回のIPOで上場前より時価総額が下がるという指摘がある。
しかし、上場前の時価総額そのものが水物ということも考慮したい。

2年前に算出された時価総額が約90億とのことだが、
2年前の同社の業績は赤字だ。売上も4億、純資産も4億程度しかない。

しかし、なぜ時価総額90億にもなるかというと、
ディスカウント・キャッシュフロー(DCF)という手法で株価を計算するからだ。
DCF法では、将来生み出す資金を現在価値にして計算している。
従って、将来成長が期待できる場合は、現在価値も膨大になる。

実はこの計算を正しく理解できる人は少ない。
適正なのかどうか判断は極めて難しい。
つまり上場前の株価そのものが水物なのだ。
上場して多くの人に売買されることで、初めて適正な株価に落ち着いていくというものだ。
(今回の上場後の流動性が低いのでは?話は置いておいて)


今回のIPOの裏にサイバー藤田社長もいる

株価の話が出てきたのでサイバーエージェントのことも触れておきたい。
先程、キラキラ社員で成功している事例としても同社の名前を出したが、
同社はウォン社の10%強を保有しており、仲CEOに次ぐ第2位の株主だ。

サイバーの藤田晋氏は、やり手だ。
今回は先輩起業家としても、ベンチャー投資家としても、
仲暁子CEO、およびウォン社を支援してきたに違いない。
今のサイバー社からしたら小さなものだが、今回IPOで売り抜けて数億円程度の利益は計上できるだろう。

そう言えば10年ほど前、ドリコム社が上場する時を思い出した。
ドリコムの内藤社長も京大出身(中退)で、在学中から仕事をしていて、
20代後半に上場して億万長者になっていた。おまけにイケメンだ。
そして、裏にはやはりサイバー藤田氏がいた。
京大、イケメン(美人)、小規模上場、サイバー藤田氏と、
今回のウォンテッドリー社と何かと共通点が多い。

 

ドリコム社は、当時はブログシステムの会社で規模も小さかったが、
2000年代後半のいざなみ景気で市場環境も良かった頃に上場。
直近売上高が10億少々にも関わらず多額の時価増額がついた。
その裏で、サイバー藤田氏は投資家として多額のキャピタルゲインを得ていた。

 

その後、株式市場はライブドアショックリーマンショックと大荒れ。
絶頂期に上場したドリコムは、上場ゴールの代表格として叩かれた。
しかし最近になって、同社は「ダビスタ」や「みんGOL」で、
再び期待銘柄として注目されるようになっている。

 

 

藤田社長は初代上場ゴール社長だった

思い起こせばサイバー藤田氏自身もITバブルの絶頂で上場して、
こちらは多額の資金を調達したにも関わらず“赤字企業”として叩かれていた。
サイバー藤田氏は、初代「上場ゴール社長」だったのだ。
そこから這い上がって今では年間300億を超える経常利益を出すようになり、
IT業界への影響力も強い“有数の起業家”となっている。
上場ゴールと言われるかそうでないかは、上場した後の社長の努力によって決まる。

 

市場環境が良い時に上場したいのは当たり前

創業者が上場ゴールを目指しているわけではない。
多くの創業者は上場後も社長として君臨し、さらに業績を伸ばすために頑張るものだ。
上場による資金調達は「手段の一つ」にすぎない。

創業者自身が上場後に市場で株を売り抜けるのは、
ルール上も道義上も極めて難しい。
少量を売って現金化することはあっても、
自ら保有して自らの企業価値を上げるために邁進するほうが理にかなっている。
上場を「ゴール」と捉える創業社長は極めて少ない。
むしろ「スタート」と捉えるのが大半である。

しかし、アーリーステージの投資家や、証券会社は別だ。
アーリーステージの投資家は、最も良い条件で投資資金を回収したい。
「高値売り抜け」こそ最終目的として、
「なるべく早期に」「なるべく高く」の条件で、売り時を探るものだ。

証券会社もほぼ同様だ。
手数料を稼ぎたいので、なるべく市場環境の良い時に華々しく上場させたい。
昨今の株式市場は堅調で、投資家の投資意欲も旺盛だ。
しかしこの流れがいつ変わるかもわからない。
ならば多少小粒でも、市場環境が良いうちに上場させておきたいと考えて不思議ではない。

もちろん、彼女自身が早期上場を望んでゴリ押しした可能性もある。
その場合は「今が攻め時」と判断しての結果だろう。
今後の経営舵取りに注目したい。 

騒動の裏には証券会社の意向もあったのでは?

「上場ゴール」は創業者の意図ではなく、
常に周りによって演出されてしまうものだ。

もしかしたら、今回のブログ記事検索結果の削除要請騒動の裏には、
上場前にネガティブな情報を流布してほしくないという、
証券会社の意向もあったのではないかと推察できる。

ただし、あの程度の理由で削除要請をしたのは間違いだ。
返って反発を招いてしまう結果となった。

 

まとめ

記事が長くなって論旨がボヤケてしまったがまとめると、

  • 仲暁子CEOへの批判の大半は嫉妬。と思われてしまうほど、凡人は彼女に敵わない。
  • だがウォンテッドリー社の小粒上場は否めない。
  • それを指摘したブログ記事は分かりやすく秀逸だった。
  • オフィス拡張は必要な投資だと思う。人材確保こそ競争力の源泉。
  • 市場環境が良い間に上場させておきたい証券会社の事情もある。
  • でも削除要請は良くないよね。

 

以下、参考記事。

 

www.oricon.co.jp

 

blog.inst-inc.com 

style.nikkei.com


 ウォンテッドリー 目論見書(SBI証券

http://search.sbisec.co.jp/v2/popwin/info/connect/ipo/201708102101.pdf